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感情教育〈上〉 (岩波文庫)興味を持たれた諸君へ
みなさんの周りにもいませんか?

以前には「○○こそ最高の歌手だ!」と言っていたのに、今では「あんな歌手バカバカしい。夢中になってた自分が恥ずかしいよ」と言う人。その逆のパターンもありますね。

本作『感情教育』には、そうした人たちがたくさん登場します。彼らは、信念や思想、人に対する評価や好意、趣味や服装等に至るまでを、その時々の立場や状況なりに左右された「気分(感情)」でころころと変えていくのです。強烈な個性が必要とされるので、物語のヒーローであれば一貫した態度を貫いて生きていく人は珍しくありませんが、そうした人は現実には稀にしか存在しません。近代以降になると社会の構造が複雑化してきましたから、力の無い人間には、どうしてもこうした処世術が必要になってくるのです。本作の主人公もその例外ではないのですが、彼に何か特異な性質があるとすれば、それは「美に対する原初的な感覚」のようなものが、まだかすかに残っているという点でしょう。



この小説は、どこか部分だけを取りあげて紹介するのが難しい作品のひとつです。それだけ奥深いのです。僕個人にとっては「カラマーゾフの兄弟に並ぶ小説など存在しない!」という考えを、最初に改めさせてくれた作品でした。まあ、明日にはころっと変わっているかもしれませんが……。幸い『感情教育』に対する高評価は現在も続いております( ̄ー ̄;)




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